沖縄風水学の講座について

和来龍

2023年11月13日 06:00

<沖縄風水学の講座について>

 「沖縄風水学」入門を刊行してから一年が経ちました。
 風水の本としてはさほど買いやすい価格ではないと思いますので、購読していただいた皆様に心より御礼申し上げます。この本が皆様のお役に立つことを願っております。

 「沖縄風水学」入門を読んで、日本で流行している風水との違いを感じた人、中国で発生した風水の本質的な意味を改めて問い直した人、沖縄独自の風水の発展の仕方に興味を持った人など様々だろうと思います。

 風水の技術は、その地域の環境とそこに住む人々の価値観に合うように工夫され、変えられていくものです。また、時代の流れとともに価値観が変われば、それに対応できるように風水の技術も変わっていきます。ですから、風水師は、伝統的な風水の基本や技法を学んだ上に、その時代のニーズに合うように工夫する必要があります。そのためには、科学的な視点も取り入れながら新たな技術を学び、努力し続けることが大切です。

 また、風水師自身が風水にしたがって生活し、満足できる結果を出していることも重要です。なりたての風水師の先生が背伸びして成功者のふりをしても、そう簡単に他人の目をごまかすことはできませんし、自分の本心を欺くことになるため次第に行き詰まってしまいます。自分が風水を実践してその恩恵をわが身に得てこそ、他人にも教えることができます。疑わしい内容は捨てて自分が納得いく内容だけを伝えるようにすれば信頼されるでしょう。

 風水師の価値は、風水術に関する知識よりも豊富な体験から得られた知恵にあります。風水師の財産はお金ではありません。風水師自身の実体験の積み重ねとそこから得られた知恵が財産です。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といわれるように、先人が経験したことを学ぶことで多くの経験を身につけることができます。風水の歴史や様々な風水師について学んで得られた教訓は、風水師としての心構えを正し、その価値を高めてくれるでしょう。

 風水の学習では、自分に正直に、そして天地自然に生かされていることを感じながら生活することが大切です。日々、天と地や自然との対話(瞑想などによる意識の交流)を通して自分自身の存在価値を確認し、思いやりや愛情をもって家族や周りの人々と調和して生活すれば必ず結果はついてきます。ただし、我欲に支配されて人の道から外れないようにセルフコントロールし、うまい儲け話やギャンブル、怠惰な生活習慣は避けてください。

 宇宙を支配している法則(物理法則もその一つ)は宇宙に一定の秩序や規則性をもたらしています。その法則は道のようになっていて、中ほどを歩けば問題ありませんが、端に偏り過ぎるとやがて道から外れてしまいます。この道にしたがって生きることを教えているのが道学です。
 沖縄風水学の祖というべき蔡温が教えた風水思想は道学(儒学)を基本としています。財運を例に挙げれば、「お金を儲けるための風水術」ではなく、「自然と調和することでお金に恵まれる風水術」が沖縄風水学といえます。

 さて、沖縄風水アカデミー(OFSA)において風水講座を検討しています。ただし、風水師養成の通信講座は今のところ考えていません。
 「気」という目に見えない存在を理解してもらうには、龍脈のわかる場所や風水建築物、パワースポットなどに行って、「気」や「気の流れ」を直接感じ取る必要があります。また、その時に感じ取った感覚が正しいかどうかをその場で教師が確かめる必要もあります。
 「気」がわかるようになれば、インテリアの配置や色、グッズの用い方などは自分のセンスに合わせて直観的に決めることができるようになります。
 このような理由もあって、古い時代から風水術は先師に弟子入りして学ばなければ身につかないものとされてきました。
 また、全く風水を勉強したことがない人と陰陽五行理論や各種風水術を既に学んで理解している人とを一緒に教えることはできませんし、学習の進み方にも個人差があります。
 そのため、沖縄風水アカデミー(OFSA)の風水講座は、個性を重視した対面での個人レッスンを基本として、必要があれば同レベルの人からなる少人数クラスを設けることを検討しています。

 風水を業務としたい人だけに限らず、現在の仕事に風水をとり入れてスキルアップを図りたい人、風水の学びを日常生活に生かしたい人など、その人のニーズに応じて無理なく学んでいけるように、個別に相談しながら学習内容を決めていければと思っています。
 風水は学んだことを実践してはじめて結果がついてくるものです。また、現実は複雑ですから教科書通りにしたからといって必ずよい結果が出るわけではありません。応用問題の連続です。ですから、風水は継続して学習していかないとなかなか身につきません。風水の勉強を続けたくても受講料の負担が大きいと長続きしませんので、金銭的にも安心して学べる方法を検討しています。

 一方、難しいことは抜きにして、日々の暮らしの中で誰でも気軽に実践して幸福感が得られるような考え方や風水術を多くの人に提供したいとも考えています。
 不幸を避けて幸福を得ようとしてどんなに風水術を駆使したとしても、運命の荒波から逃れることができないこともあります。
 ただ、同じ苦境に置かれても不幸と思う人と幸福と思う人がいることから、不幸と思うか幸福と思うかは個人の心次第ともいえそうです。
 ですから、どんな困難に遭遇しても悲観しないで、その状況を幸いだと思えるような柔軟で折れない心を養う方法を伝えたいと思っています。

 沖縄風水アカデミー(OFSA)では、心を養う方法として琉球王国の宰相であり風水師だった蔡温の人生観や哲学、教えが役に立つと考えています。
 彼は、儒学・道教・仏教・風水などの思想や学問を学んでいますが、それらを単なる知識としてとらえた人ではありませんでした。厳しい境遇に置かれた琉球国の宰相として自らが実践して結果を出しました。この実践哲学こそが、学者ではなく国の命運を背負う政治家として生きた蔡温の「実学」とよばれるものであり、彼を琉球最高の風水師にならしめた原動力だったといえます。

 「まず、個人が心を磨いて人格を高め、家族が調和するように家庭をととのえる。家庭が安定すれば国を治めて天下を平らかにする」という儒学思想を、具体的に実践する方法を蔡温は教えています。
 心を磨くことや家庭をととのえることは誰にでも当てはまることだと思います。とはいっても、蔡温が生きていた時代は今から約300年前です。個性や多様性が尊重される現代にその教えがそのまま使えるわけではありません。そのため、蔡温の教えを現代の生活に応用できるように準備を進めているところです。

 諸般の事情により、準備が整っていないため今年はまだ講座を開くことができません。
 ただし、情報を発信しなければ誰にも伝わらないため、役立ちそうな内容があればメルマガやホームページで少しずつ提供していきたいと考えています。

 最後に、風水の学び方を簡単に書いておきます。独学の参考になさってください。

①詳しく広く風水を学んで、偏らない正しい知識を身に着ける
②学んだことは必ず実践してみる
③うまくいかなければ原因を究明し、試行錯誤を重ねてよい結果が出るまで工夫する
④学んだ知識を自らの経験によって知恵に変え、他にも応用していく
⑤風水を実践して心が平安になっているかどうかを自問自答して確認する

 上記を繰り返していけば風水というものがだんだんわかるようになります。
 心身が健康でお金も足りて家族や周囲との人間関係が良好であれば学びは順調です。
 皆様の日々の学習が実を結びますようお祈りいたします。



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