【1. 形】
風水の起源は約4000年前の中国です。日本や沖縄に伝わっていくうちに、各地の気候や土俗信仰と融合しながら発展してきました。
古代人は住居を構える場所をどのように選んだでしょうか。
方位磁石のない時代には、おそらく山や川、池、泉などの立地から、飲み水や食料が確保しやすい場所を選んだでしょう。また、強風によって建物が壊されたり、大雨で浸水しない安全な場所を選んだことでしょう。
冬の北からの季節風を避ける山が背後にあって、前方は南に広がる穏やかな平地や川、湖沼があり、東と西は小高い丘陵とその内側を川が流れるような場所は日当たりもよく住むのに適していました。
赤ちゃんがお母さんに抱かれて安心するように、山や川によって抱きかかえられるような場所に住居を構えることは、敵に対する防御の観点からも安心して住める環境だったと言えます。
このように、風水の基本は
自然の地形と土地や建物とを調和させて住み良い環境を作ることと言えます。
【2. 方位】
今から1000年ぐらい前になると、風水を観るのに羅盤(羅針盤)が用いられるようになりました。
方位が正確に測られ、天体観測も発展して、暦が作られるようになると風水の考え方も変化していきます。方位の特徴(偏角など)を細かく観察することにより、太陽の動きだけでなく磁力線の影響も考えるようになりました。
また、一年365日の天体の動きや季節の変化を地上の方位に対応させて考えるようになりました。
さらに、「易経」の理論的解釈が進んで太極図が作られるようになると、風水にも易の解釈が当てはめられるようになり、羅盤の目盛りに64卦や384爻が入れられました。
「風水思想」は易経に基づいているため根底には深い哲理が流れています。
しかし、民間で用いられた「風水術」は現世利益を追求するあまり世俗化していきました。
方位にはもともと吉も凶も無く、それぞれの方位の特徴があるだけでしたが、風水の世俗化に伴って数多くの流派が現れて吉凶を論ずるようになりました。
方位の吉凶の解釈も地域や流派によって違いが出るようになり、時には正反対の結果が出ることもありました。そのため、依頼者は一人の風水師の鑑定だけでは信用できず、セカンドオピニオンをもらいに他の風水師にも鑑定を依頼するということもありました。
「同じ方位が、ある流派では吉であるのに他の流派では凶」という状況になったため、風水を学ぶ場合、いくつもの流派や何人もの先生に弟子入りしなければならないということも起きています。
例えば、日本の「家相」では北東を鬼門として大変恐れます。中国や沖縄でも北東方位を軽視はしませんが、盲目的に恐れることはありません。住宅の北東が吉か凶かということを鬼門云々だけで判断するのではなく、
氣の流れや個人の運勢と照らし合わせた上で判断します。
鬼門への対処法は、流派によって異なりますが、大きく分けて二つの方法があります。
①壁を作って北東からの寒風や煞氣(殺氣)から住宅を守る対処法
②逆に湿気が残らないように敷地や建物に「欠け」や「空き」を作って風通しや日当たりを良好にする対処法
私は流派にこだわらないので、各住宅の北東方位の環境に合わせて最も良い対処法を選んでいます。
【3. 氣の流れ】
風水では大地や住宅と人体とを相似させて考えます。
大地で考えれば、岩石は骨、土壌は肉、草木は毛、水は血液。住宅で考えれば、玄関は口、家の中心や仏壇(廟)は心臓、勝手口やトイレは肛門という具合に対応させます。
大地の氣の流れは、龍脈という言葉で表現されます。
氣エネルギーの源やそこから湧きいずる氣の流れが龍脈であり、氣が集まってエネルギーが充満しているところは龍穴と呼ばれます。
住宅と人体とを対応させて考えると、住宅の入り口は人間の口にあたり、氣エネルギーが入ってくるところになります。玄関の位置や大きさ、形などによって、住宅に入る活氣や財運の量や質が変わります。そのため、玄関は運勢的に重要な場所です。
キッチンやトイレ、風呂などは排水や排気するところなので、肛門や泌尿器に例えることが出来ます。
玄関に対して勝手口や水まわりがどのような位置にあるかによって財運が貯まる住宅であるかどうかがわかります。
最も気をつけなくてはならないのは、家の中心に窓の無いトイレや水まわりが集中している、玄関の正面にトイレや勝手口があるような間取りです。これらは「漏財宅」と言われお金が貯まらない住宅とされています。
口(玄関)から入った食物(財運)が、体(住宅)内に留まらないで、すぐに肛門(トイレ、水まわり、勝手口)から出て行くと栄養不足になってやせ細り、体(住宅)が貧相になるためです。
「氣の流れが滞ると血液循環が悪くなり病気になる」という東洋医学の考え方を住宅にも当てはめて考えることが出来ます。
現場に行って風水を調査すると氣の流れの悪いところを発見することがあります。そういう場所に限って湿気が多く、カビが生えたり、シロアリが入ったりして、まさに家が病んでいる状態が起きています。
さらに、住宅の氣の流れが悪い場所と対応する身体の部分に不調を訴える住人がいるというケースもあります。特に水まわりが暗く風通しが悪い環境にあると、氣の流れも滞りやすいため、下腹部の調子が悪くなることがあります。
住宅の氣の流れを読み取るのはそう簡単ではありませんが、「氣は風に乗って散り、水に出会うと留まる」という性質を知り、体験を通して感性を磨いていけば、少しずつわかる(感じる)ようになります。
森の中に入って、水の湧くところ、大木の茂るところ、大きな岩のあるところを捜し歩きながら、それらの場所で大地の氣の違いを感じる訓練をするのもよいでしょう。
動物や植物だけでなく、石にも生命が宿っていることが感じられるようになると森の氣と自分の氣が同期しつつあります。
石や大木が語りかけてくるのを聞いたり、森と自分との垣根が消えてなくなり、自分の体が森に溶け込んで、最後は自分が森になってしまうような一体感を体験すると氣がわかるようになります。
【4. 運勢】
風水というと、凶を避けて吉を呼びこむ術法に関心があると思います。
人生はなかなか自分の思い通 りにいかないものですし、突然災難に遭うこともあります。
人生の一つの道しるべとして運勢学があります。
この世に生まれた年月日時から占う四柱推命などは、持って生まれた運命の種がどういうものであるかを占います。
そして、その運命の種が何才の時に発芽し、何才の時に花を咲かせ、何才の時に実を結び、何才の時に衰え始めるかなどを知ることができます。いくらかの変動はあるものの10年、12年、60年の循環法則にしたがう運勢のバイオリズムがあります。
ただし、人が死を迎える時については占いを超えているようです。その人の行い(善行、悪行)によって寿命が変わるからです。人の命の長さに関しては「神様のみぞ知る」領域です。
肉体の死はあっても魂の死はありません。死後の魂は天に上り、ある期間を経てまた新たな肉体に宿ります。魂にも何かしらの循環法則があるようです。
運勢は目に見えないものです。命名はその目に見えない運勢にラベルをつけるようなものです。つけられた名前が良かったから運勢が良いのではなく、持って生まれた運勢が良いから良い名前がついたと言えます。
昔は「名づけ親」という言葉をよく耳にしました。子供が生まれると高名なお坊さんや地元の有力者に名前を付けてもらうこともありました。その人の徳や運気をあやかりたいという意味があったと思われます。
私のこれまでの鑑定経験から言えることは、「運の良い人は運の良い名前を自然に思いつき、運の悪い人は運の悪い名前ばかり思いついてしまう」ということです。離婚した女性が孫娘の名前の候補を5つ考えて私のところに鑑定依頼に来られたことがありました。姓名判断をするとそのすべてが離婚しやすい名前でした。
姓名判断は「運勢のラベル」の意味を読み解く占い法で、姓名を数字に置き換えて占います。性格、先祖との関係、親子関係、結婚運、家庭運、適職などを知ることが出来ます。
一方、風水(ここでは占いではなく地理風水や家相のこと)は、種ではなく、種がまかれる畑の善し悪しを判断するものです。
敷地や住宅の持つ運勢は畑であり、持って生まれた運命は種にあたります。良い畑に良い種をまけば最高の結果が得られます。しかし、いくら
良い種でも悪い畑にまけば期待通りの結果が得られないでしょう。
人はそれぞれ異なった運命を持って生まれています。ひまわりのように日向を好む植物もあれば、苔のように日陰を好む植物もあります。同様に、人前に出て活発に動き回るのが好きな人、家にこもって静かに物を作るのが好きな人がいます。
それぞれの性質にあった環境にあれば持てる力を発揮できますが、性質に合わない環境におけば伸び悩んだり、病気になりやすいと言えます。
親の希望やプライドだけで子供の学校や進路を決めてしまわないように注意しましょう。子供の性質にあった教育環境を選んであげれば才能を発揮しやすくなります。
あなたがどんな運命の種を持って生まれているのかを運勢学で知り、自分に合った職種や会社、地域などの環境を選べば、人生はうまくいきやすいと言えます。
場所が決まったら、風水(地理風水や家相のこと)にしたがって住まいを整えてください。
そうすれば、植物が強く根を張って枝葉を伸ばし、大木に成長していくように、この世界にしっかりと足をつけて、自分の人生の目的に向かって個性や才能を発揮することが出来るようになります。
人生の荒波をうまく乗り切ることが出来るだけでなく、あなたらしい豊かな人生を送ることが出来るでしょう。
風水は行動・実践して初めて結果が出るものです。本を読んだだけでは開運しません。
風水に基づいた掃除片付け、模様替え、リフォームなどで住環境を整えることで住宅の氣の流れを良好にし、住まいに良い氣を満たしてください。
また、パワースポット巡りや自然の豊かな場所に行って、楽しく生氣を感じてみてください。
皆様が風水を学び実践して豊かで幸せな人生を築いていけるように、新たにおもしろ楽しく琉球風水レッスンを書いていくつもりです。